ドローンに無人配送車…
新型コロナ拡大を防ぐ中国の「無人化技術」、
活用の実態とは その1
2020/3/13のYahoo!ニュースへの寄稿記事を一部改編の上、著者の許可を得て転載しております
新型コロナウイルスで多くの感染者が出た中国だが、現在は落ち着きを見せ、街もかなり日常に戻ってきている。
中国全体での新規感染者の増加数も「ゼロ」と発表される日が多くなった(5/11現在)。
中国でも現在の日本と同様、コロナ流行中は企業活動や市民生活に大きな制約が出た。
その中においては、デジタル技術の活用によりそうした制約を緩和、回避しようという動きが盛んだった。感染拡大を防ぐために、既存のテクノロジーが改めて注目を集める例も数多くみられた。
今回紹介するのは、中国のコロナ流行下における「人と人との接触を最小限に抑える」テクノロジーだ。
ドローンが市民に注意を呼びかける
「おばあちゃん、見てないで!これは私たちの村のドローンです」
「あなたはマスクをしてないですよね。むやみに外に出ないで」
「帰ったら手を洗ってね、いいですか?」
中国で新型コロナウイルスの感染が拡大していた2月、警察官がドローンを携帯したスピーカーを使用して、 女性に家の中に入るように促す動画が、中国のソーシャルメディアで拡散された。
街の上空を飛ぶドローンに搭載されたカメラの映像を通じて人が集まっている場所を見つけ、注意する。
公安の業務にドローンを活用することで、注意喚起の効率化を図るほか、人との接触を避けることによって公安の人員の感染を避ける狙いがあったようだ。
SNSで拡散されている情報の中には他にも、歩行者にマスクを着用するように警告したり、人が集まるのを防ぐために屋外に置かれた麻雀卓をドローンが壊したりしているものまである。
また地区によっては、検温ができるドローンで住民の体温を計っているところもある。街中を歩く市民の体温を上空から測定。高熱がある人は、自宅待機や病院での受診が指示されるというわけだ。
ディストピア的な監視社会のようにも見えるが、このような感染拡大の危険がある状況下では効果的な対策だったとも言えるだろう。
ちなみに中国の人々の反応はと言うと、投稿された動画には「おばあちゃんも笑ってるね」「笑っちゃうね、おばあちゃんかわいい」など、この様子を楽しむコメントが目立つ。
ドローン世界最大手のDJIを擁する中国でも、日常的にドローンを見る機会は一般人にはほぼない。ドローンでの取り締まり自体が物珍しく、また動画に写っている女性の反応も相まって、広く注目された。
他にも、バスケットコートで遊ぶ若者たちに、かつて東京・渋谷で話題となった「DJポリス」さながら、公安がうまく注意して家に返す様子を収めた動画なども人気だ。
筆者の中国に住む友人の間でも、このような動画は「おもしろ動画」のような位置付けで拡散され、話題となった。
「監視されていて怖い」「自分がこれをされたらどう思うか」「どうあるべきか」という話よりも、感染拡大下で家から出られない人々にとっての「楽しい暇つぶしコンテンツ」となったようだ。