【ビジネスデータ】海外生産比率は過去最高水準に 進むグローバル化の実態は
月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。
日本企業のグローバル化の実態を知ることができるのが、経済産業省が毎年実施している「海外事業活動基本調査」だ。この調査は、日本企業の海外事業活動の現状と海外事業活動が現地および日本に与える影響を把握することを目的としている。
今年4月に公表された『第46回海外事業活動基本調査』の対象は、2016年3月末現在で海外に現地法人のある企業(金融・保険業、不動産業を除く)。「現地法人」とは、海外子会社(日本側出資比率が10%以上の外国法人)と、海外孫会社(日本側出資比率が50%超の海外子会社が50%超の出資を行っている外国法人)としている。
それによると、2015年度における海外現地法人数は2万 5,233社(うち製造業1万1,080社・43.9%、非製造業1万4,153社・56.1%)となっており、前年度よりやや増えている。従業者数は557万人で前年度より3.0%減少したが、売上高は274兆円で前年度より微増、そして製造業の海外生産比率は過去最高水準の25.3%となった。業種別に見ると、輸送機械、はん用機械、情報通信機械の海外生産比率が高く、これらの業種を中心にグローバル化が進んでいるといえよう。
では、企業はどこに進出しているのだろうか。現地法人数が多いのは圧倒的にアジアで、うち中国が全地域の3割を占めている。中国は2004年度以降、それまで現地法人が一番多かったアメリカを抜いて、トップの座を維持している。ただ、前年、今年と、撤退比率が高いのも中国だ。
現地で製造された製品は、ほぼ現地および域内で販売されている。現地および域内販売比率が一番高いのは北米で、欧州、アジアとつづく。日本への販売比率が高いのは、アジア、欧州、北米の順となっている。
また、各地域の調達総額に対する現地および域内調達比率が高いのもアジアだった。2006年度と比較すると、アジアが上昇、北米と欧州が低下している。ちなみに日本からの調達比率は、3地域ともに低下した。
今後、ますますグローバル化が進むなか、どこに、どのようなタイミングで進出し、どのようにしてビジネスを展開するのが適切なのか、緻密な戦略を練ることが企業の競争力になるのだろう。