【ビジネスデータ】 国際的な競争力はこのまま低下してしまうのか日本の科学技術のこれから
月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。
日本の科学技術分野の競争力が、諸外国に比べ落ちてきていると指摘されて久しい。今年6月に公開された文部科学省の「平成30年版科学技術白書」では、あらためていまの日本の科学技術イノベーションの基盤的な力の現状と課題を知ることができる。ここでいう基盤的な力とは、「科学技術イノベーションを支えてきた、優れた研究開発を生み出す人材力、多様な研究活動を支える知の基盤と研究資金」をさしている。
論文の国際比較を見てみると、日本の論文数、論文の質の高さを示す被引用数Top10補正論文数ともに順位を下げており、また、わが国政府研究開発投資の伸びも停滞している。
人材力では、博士課程進学者・若手研究者の減少と人材の流動性・多様性の不足、をあげている。女性研究者は増えてはいるものの、諸外国に比べ低い水準であり、若手教員の任期無しポストの減少などの課題がある。
知の基盤では、注目度の高い研究領域への参画が他国に比べ不足していることや、研究時間の減少、などを指摘。
さらに研究資金については、わが国の研究開発費総額は横ばいだが、アメリカ、中国との差は拡大しているのが現状だ。
一方、大学などと企業の産学連携が着実に進みつつあり、上場している大学発ベンチャー36社の時価総額合計が1兆2,000億円超となるなど、成果につながってきている。
産官学の連携を密にして、目先の成果だけではなく、100年、200年という長いスパンで今後の科学技術政策を考えることも急務であろう。