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【魚眼 虫眼 鳥瞰】 経営も人生も豊かにする 「対立的統一」 という 「楕円思考」

月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。

「対立的統一」「矛盾の同一性」、普段あまり耳にしない言葉かもしれない。陰と陽はいずれか一方だけでは成立せず、「“対”になる2つ」が対立したり矛盾したりしながらも、2つが1つになってはじめてその存在が成立すると考えるのである。

筆者が、この考え方を学んだのは、常盤文克氏からである。常盤氏は、理学博士でもあるが、「易経」にも精通しており、花王の会長も務めた方である。

この考え方を教えていただいてから、私は物事の対極にあるものは何かを考えるようになった。そうすることで、自分自身の視野や考え方などに偏りがあることに気づかされる。こうした気づきをもてると、他者の意見にも自然と耳を傾けるようになり、自分の対極を考えながら聞くことができる。それが、狭い考えに陥らないことにつながる。

常盤氏がこの3月に新刊上梓された『楕円思考で考える 経営の哲学』(発行:日本能率協会マネジメントセンター)では、自分を中心において物事を考える「円思考」は、一極思考であると指摘する。それに対し、2つの円思考を接近させて重ね合わせて、2つの焦点をもつ「楕円思考」へ変えることが「対立的統一」「矛盾の同一性」であると解説している。本書は、ビジネスパーソン向けで、経営のあり方を提唱しているのだが、あえて本書の底辺に流れる本質に触れるならば、私は、豊かな生き方や仕事のよいあり方を提唱しているものとして読ませていただいた。

イノベーションが今後さらに求められるが、2つの円の交わる部分に、イノベーションの種があるはずだ。イノベーションにとって、対象となる極は、1つだけではないだろう。さまざまな対極を探し、数多くの交わる部分からその種を見つけてほしい。そうした新しい発見のためにも、「楕円思考」を理解されることをお勧めする。

まだ、ご存じない方には、真に豊かで幸せな世界とは、企業とは、経営とは、人生とは、といったあらゆることを考えるための“道具”として、「対立的統一」「楕円思考」を身につけていただきたい。

(編集室 ブンヒン
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