【#15:企業価値を算出する方法(DCF法)】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート
日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
今回のコラムでは、企業価値算出手法の代表格であるDCF法についてご紹介します。
経営者のミッションは、経営資源を最大限に活かし、企業価値を高めることにあります。
したがって経営者になるには、まず「企業価値とは何か」を理解しておく必要があります。
企業価値の算出手法に関しては様々な考え方がありますが、ここではDCF(Discount Cush Flow)法での企業価値を説明します。
Chart15:企業価値を算出する方法(DCF法)
企業価値をシンプルに言うと
企業価値とは、
『企業が将来にわたり生み出すキャッシュフロー(で手元に残る資金)の現在価値の合計』です。
将来、企業が成長し利益拡大が見込まれる場合は、企業価値が高まります。
一方、将来も利益が一定、あるいは減少すると見込まれる企業は、企業価値が高まりません。
一般の投資家は、将来、利益が拡大すると見込める企業には投資をしますから、企業価値が増加すると判断すれば株式を購入します。
従って、理論的には、企業価値が高まれば株価は上昇すると考える事ができます。
企業価値と幸せ
次に、経営者はなぜ企業価値を高める必要があるかを考えてみましょう。
事業を発展させて企業価値を高める手段は、経営者に任された経営資源(人、もの、資金)を最大に活用することでもあります。
企業経営は、社会課題を認識し、それを解決することで人々の生活、そして社会が持続的な進化や発展をすることをゴールに行われます。
すなわち経営は、その取り組みの過程と結果、そして成果により、従業員も含め全てのステークホルダーに「幸せ」を提供することに他なりません。
「企業は社会の公器」とは、まさにそれを表す言葉でもあります。
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五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。
近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)
Chart15:企業価値を算出する方法(DCF法)
Chart16:企業のかたち
Chart17:経営のスタンス
Chart18:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略①
Chart19:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略②
Chart20:2類型ある企業成長の取り組み
Chart21:M&Aのプロセス
Chart22:M&Aの領域設定
Chart23:M&Aを成功に導く要因