【#18:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略①】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート
日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
今回と次回のコラムでは、2週にわたりこれから求められる経営戦略の在り方についてご紹介します。
前回のコラムでは、急速な技術革新や感染症などの環境変化に伴い、経営のスタンスをどのように変えていくべきかについて言及しました。
それを受けて、今回と次回のコラムでは、多くの企業でとられていた“これまでの経営戦略”と、環境変化を柔軟に乗り越えていくための“これからの経営戦略”について2週連続で書きたいと思います。
今週は、フォアキャスティング的に行われてきた“これまでの経営戦略”についてです。
現在の延長戦上で数値達成を目指す“これまでの経営戦略”
経営戦略の作り方において、“これまで”と“これから”を分ける一番の要因は、技術革新・本格的なデジタル化です。
これまでは、経営戦略の策定においては、まずマーケティング環境分析のフレームワークである「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3C分析が実施されてきました。
そして、同業他社に勝ち抜くための経営戦略をつくり、それに基づき取り組むことが主でした。
それらをチャートにまとめるとこのようになります。
Chart18:これまでの経営戦略
同業他社に勝ち抜く競争計画からは、利益計画中心の経営戦略が導き出されます。
これまでの経営戦略をまとめると、
「現在の延長線上で未来を捉え、競合に対する競争戦略を軸に、積み上げ型で数値達成を目指す計画」
となるでしょう。
一方、これからの経営戦略は、
「技術革新、変化する社会環境のもとで企業のかたちを考えビジョンをつくり、その実現のため、従来の企業の枠を超えて取り組む戦略」
と、ビジョンをベースに立てられるのが特徴です。
詳しくは次回のコラムでお話しします。
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五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。
近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)
Chart15:企業価値を算出する方法(DCF法)
Chart16:企業のかたち
Chart17:経営のスタンス
Chart18:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略①
Chart19:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略②
Chart20:2類型ある企業成長の取り組み
Chart21:M&Aのプロセス
Chart22:M&Aの領域設定
Chart23:M&Aを成功に導く要因