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【#14:技術情報の漏洩防止対策】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート

日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
今回のコラムでは、グローバル生産体制を構築する際に足元をすくわれないための技術情報漏洩防止対策についてご紹介します。

日本企業がグローバル企業になるためには、技術情報管理を徹底し、その漏洩防止策を施し、知的財産権を確実に保持することが重要です。

例えば、日本の畜産事業でいうと、「遺伝資源」は極めて重要な財産です。
しかし、最近のニュースで「輸出禁止の和牛の受精卵と精液が中国に不正輸出された」ことが報じられました。和牛の生産が他国に広がれば、和牛の輸出先を失い、日本の畜産農家は大打撃を受けることになります。

これに代表されるように、特に日系企業の場合、他国企業や、国内の他企業への技術情報漏洩により、事業競争力を失うケースは少なくない状況にあります。
その原因と技術漏洩対策を表にまとめました。

Chart14:技術情報の漏洩防止対策

漏洩防止対策①:生産立地の検討

グローバル展開する企業では、当然海外に多数の生産拠点を保有しているため、その立地のところから技術情報漏洩の視点で検討する必要があります。

漏洩防止対策②:技術のプロテクション対策

コア技術であればあるほど漏洩した場合の影響は大きなものがありますので、万が一漏洩した場合でも他社に簡単にその技術を再現できないような工夫をこらすことが必要です。

漏洩防止対策③:知財戦略

知財戦略も重要であり、特許権を獲得するのか、ノウハウ化するのかの仕分けが重要となります。また、特許権のみならず、実用新案権、商標を含めた知的財産権で自社事業を守る取り組みも重要です。

漏洩防止対策④:教育

サイバー攻撃を除けば、技術情報を含め会社の秘密情報の漏洩には従業員の直接的、あるいは間接的な関与が強く疑われます。従って、従業員の教育は極めて重要ですし、秘密情報へのアクセス権の設定等の取り組みも必要となります。

漏洩防止対策⑤:サイバー攻撃対応

日本は世界的に見ても、非常に多くのサイバー攻撃を受けている国です。国立研究開発法人NICTがこちらのページで、日本が今受けているサイバー攻撃の件数や攻撃国をリアルタイムで可視化していますので是非ご覧ください。
これらの攻撃から生産現場を守るために、ある程度の予算をかけてでも対策を講じることが求められています。

五十嵐氏への社内研修・登壇等のご依頼はこちらのリンクからお受けしております
https://mono-solution.com/form/contact.html

五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。

近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)

Chart09:海外赴任のポイント
Chart10:コストダウンとコストカット
Chart11:グローバル生産体制の構築
Chart12:国内マザー機能工場の役割
Chart13:海外における現場生産マネジメント体制の構築
Chart14:技術情報 漏洩防止対策(本コラム)

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