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【魚眼 虫眼 鳥瞰】 マネジメントに対する編集力

月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。

「大きいことはいいことだ」というフレーズを覚えている諸氏も多くいることだろう。森永ミュージアムのサイトによれば、昭和40年代に入りカカオ豆の輸入価格が低下しつつあることを捉え、昭和42年に従来商品よりもひとまわり大きなサイズの「エールチョコレート」を発売した。そのコマーシャルのフレーズである。この言葉には、その後も、世の中の価値観にまで影響を与えたインパクトがあった。

日本が右肩あがりに成長していた時代は、皆が同じ方向を見て、同じ価値観を共有することこそが、成長への原動力だった。教育もそうした価値観をベースに行われてきた。この時代、欧米というめざす方向があり、複雑な要素をまとめる編集力は、さほど必要とはされていなかった。

現在は、カカオ豆の価格が上昇に転じているように、環境はがらりと変わってしまった。

いま、「大きいことはいいことだ」といった価値観がまかり通る時代ではないことはわかっている。しかし、過去の価値観で行動している自分や他者がいることに気づくことがあるのではないだろうか。人間は、「変わることを受け入れたくない」という面もあり、「徐々に変わること」には気づけない。だからこそ、変化に意識を向けることである。

いま、構成員が皆同じ方向を見て、同じ価値観に染まることは、イノベーションを阻害することになる。異なる価値観をまとめ、「顧客が気づかない不足」に昇華させることがイノベーションの芽につながる。そのためには多様性を活かすマネジメントが要求される。しかし、マネジメント教育プログラムを概観すると、あまり変わっていない。変わらなくてもよいのかもしれないが、マネジメントの対象を間違えないことだ。マネジメントの主たる対象は人ではなく、仕事であり、人であるメンバーに対しては、ケアという考え方が大切である。

これまで以上に、マネジャーは、全体の仕事を俯瞰し、メンバーに仕事を任せ、その達成を支援するというサイクルを回しつづけるために、仕事やマネジメントを編集する力が問われている。

(編集室 ブンヒン
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