スタートアップの正しい芽の出し方|
【講演レポート】スタンフォード大学 櫛田健児氏 その6
本コラムはスタンフォード大学の櫛田先生に講演いただいた内容を15回にわたり掲載しています。
アルゴリズム革命の衝撃とシリコンバレー:ディスラプションを起こし続ける経済圏 ⑥
スタンフォード大学 アジア太平洋研究所リサーチアソシエート
櫛田健児 氏
スタートアップの正しい芽の出し方
ディープマインド分野のイギリスのスタートアップを、2014年にGoogleが買収したように、世界中の優れた技術は、どんどん出てきていますが、シリコンバレー企業に取り込まれています。例えばFinTechはロンドンから出ています。イスラエルも軍関係のセンサーなどの分野では非常に強いんですね。
ただ「世界中に芽が出て、そこがその国でのシリコンバレーになるのか。それともシリコンバレーの時価総額が1番高くて、キャッシュも1番持っている会社に買収されて持ってこられるのか。」となりますと、今は正直後者の方が多いと思います。まだFacebookとかGoogleとかAppleが世界中のいい技術やサービスをシリコンバレーへ買って持ってきているのです。この力学が続けば仮説としては、シリコンバレーはまだいろんなものの中枢になります。
ただし、前回の2000年のバブルの時は株価の高騰からのバブル崩壊でしたが、今はキャッシュが豊富なので強いのです。すぐに何か起こらない限りキャッシュは残ります。従ってこの力学が続けば、シリコンバレーは続きます。
ただし、例えばもしディープマインドの創設者の1人がシリア出身の人だったら、トランプ政権の都合で彼はアメリカに入国できないわけです。ということで、シリコンバレーは大慌てしてそのような政権の動きに対して、猛反発しています。何かの力学で世界中から出る芽がシリコンバレーに持ってこれなくなったら、シリコンバレーが世界の中枢ではなくなるという危険はあります。
講演時のプレゼン資料は下記よりダウンロード頂けます。
https://event.jma.or.jp/algorithm_revolution
櫛田 健児
スタンフォード大学アジア太平洋研究所
Research Scholar
1978年生まれ、東京育ち。父親が日本人で母親がアメリカ人の日米ハーフ。2001年6月にスタンフォード大学経済学部東アジア研究学部卒業(学士)、2003年6月にスタンフォード大学東アジア研究部修士課程修了、2010年8月にカリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了。情報産業や政治経済を研究。現在はスタンフォード大学アジア太平洋研究所研究員、「Stanford Silicon Valley – New Japan Project」のプロジェクトリーダーを務める。おもな著書に『シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃』(朝日新聞出版)、『バイカルチャーと日本人 英語力プラスαを探る』(中公新書ラクレ)、『インターナショナルスクールの世界(入門改訂版)』(アマゾンキンドル電子書籍)がある。