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根底はアルゴリズム革命|
【講演レポート】スタンフォード大学 櫛田健児氏 その5

本コラムはスタンフォード大学の櫛田先生に講演いただいた内容を15回にわたり掲載しています。

アルゴリズム革命の衝撃とシリコンバレー:ディスラプションを起こし続ける経済圏 ⑤

スタンフォード大学 アジア太平洋研究所リサーチアソシエート
櫛田健児 氏

すべての根底はアルゴリズム革命

私から見ると、根底にあるのはアルゴリズム革命という力学です。

シェアリングエコノミーとかAIとかロボティクスの変革とかインテックとかIoTというのは基本的にはこのアルゴリズム革命の上に乗っているものです。アルゴリズム革命というのは人間の活動がソフトウェアアルゴリズムによって革命的に変化しているということです。

人間の活動を形式化すると、アルゴリズムで表現することが可能になり、そうすると活動を分散化させたり変革を超えたり、新しいコンビネーションに構築しなおすということができます。

今まで人間にしかできなかった活動というのは、生産性が低い場合が多いです。これを機械の力で生産性を上げるとハイブリッドになります。それはいずれ完全自動のほうに向きます。具体例で例えば「人間しかできない活動ってなんですか?」と。

色々ありますね、例えば散髪とか。この話を4年前にしていましたら、今は車の運転が自動化できてしまいました。最初はハイブリッドでUBERみたいなもので効率よく配信とかできるようになりました。でも地点Aから地点Bに物理的に運転するのでは、1人の人間にかかる運転時間という点で同じです。

でもそれが、完全自動運転が実現するような社会になりますと、人間しかできないことというのはどんどん飛躍的に減ります。昔は、例えば洗濯物の折りたたみなど、これは未来永劫人間しかできないと言われていました。

しかし、セブンドリーマーズという日本のスタートアップが洗濯物の折り畳みの自動化を実現してしまいました(靴下以外)。今はまだスピードが遅いのですが、もちろんこれからどんどん早くなるはずです。

AIの強みの1つはAmazonのCEOのジェフ・ベゾスが先日の株主総会で非常にわかりやすく言っていましたが、AIはパターン認識なので、AIで今まで人の活動をフォーマライズ(形式化)しなくてはいけなかったのを飛躍的に認知しやすくなったと。人間の活動をどんどんハイブリッド、自動化させるにあたって、AIはその進化を加速させます。

事業内容として世界展開するにあたって、1番スケールしやすいものを完全自動の対象にするものですよね。

完全自動化する対象が1番成長するのであるとすれば、シリコンバレーのベンチャーキャピタル投資はものすごくスケールする、ものすごく成長するもの以外には興味がないのです。

そうすると結局シリコンバレーのエコシステムにおいて、非常に優秀で経験豊富なベンチャーキャピタルの人達は、人間の活動を完全自動化に持っていくためのスタートアップにがんがん投資するわけです。100社ぐらいのうち1社か2社で当てて、10年位の投資のパフォーマンスを全て叩き出そうとするわけです。場外ホームラン1本か2本が全部なのです。シリコンバレーのVCというのは、100社のうち半数以上潰す、それ以外は途中でM&A売る。そこから1社か2社で途中で経営資源全部投入して場外ホームランを目指すと、こういうわけです。

ワンベースヒット、ツーベースヒットには興味がないのです。

場外ホームランだけ、という感覚です。それがいま、場外ホームランレベルで1番スケールするのは完全自動化と、このような流れになっているのです。このような力学でどんどん物事が動いています。

講演時のプレゼン資料は下記よりダウンロード頂けます。
https://event.jma.or.jp/algorithm_revolution

櫛田 健児

櫛田 健児
スタンフォード大学アジア太平洋研究所
Research Scholar

1978年生まれ、東京育ち。父親が日本人で母親がアメリカ人の日米ハーフ。2001年6月にスタンフォード大学経済学部東アジア研究学部卒業(学士)、2003年6月にスタンフォード大学東アジア研究部修士課程修了、2010年8月にカリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了。情報産業や政治経済を研究。現在はスタンフォード大学アジア太平洋研究所研究員、「Stanford Silicon Valley – New Japan Project」のプロジェクトリーダーを務める。おもな著書に『シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃』(朝日新聞出版)、『バイカルチャーと日本人 英語力プラスαを探る』(中公新書ラクレ)、『インターナショナルスクールの世界(入門改訂版)』(アマゾンキンドル電子書籍)がある。

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