通勤はシェアサイクルで|
「中国は遅れている」は過去の話?上海での1日の生活をウォッチしてみよう その1
この数年の間で、あなたは中国に行きましたか?
「中国スゴイ」「デジタルが浸透した世界だ」「深センは最先端の街」などなど、最近色々な話が聞こえてくるが、具体的に何がどうなっているかご存知だろうか。
中国はこの数年で大きく変わり、また今も大きく変わり続けている。
「遅れている」「なんだかよくわからなくて怪しい」「ちょっと怖い」というようなネガティブ印象を持たれがちな中国だが、今や中国はデジタル最先端の国。
おそらく皆さんの知らない「洗練されたユーザ体験設計」「最先端のデジタル活用」が多く存在している。
本記事では、デジタルに囲まれた「上海のあるビジネスパーソンの1日」をストーリー形式でお伝えする。中国の都市の生活を疑似体験していただきたい。
通勤はシェアサイクルで
朝目覚めたら身支度をして、シェアサイクルの「mobike」で出勤だ。
多くのシェアサイクルが参入し倒産し、いまはmobikeを始めとした数社しか残っていない。「シェアサイクルは終わった」のような報道も日本ではあるが、実際のところシェアサイクルは相変わらず使いやすく便利な市民の足だ。
使い方は簡単、mobikeアプリで自転車に付いているQRコードをスキャンするだけだ。
自転車は大抵メインの通りであればそこかしこにあるので、1分も探せば見つかることが多い。
アプリを起動し、自転車のQRコードをスキャンすれば自転車のロックが解除される。使い終わったらロックを掛けるだけ。自動的に精算がなされる。
一部の駐車禁止エリアを除けばどこにでも乗り捨てて良い。家から駅まで、駅から会社まで、のような使われ方も多い。
キャッシュレスで朝ごはんを購入
会社近くで朝ごはんを買うことにした。都市部では全員が使っていると言っても過言ではない、モバイル決済で、だ。モバイル決済はアリババのAlipayと、テンセントのWeChatPayが二強だが、これらを使えないところは都市部ではほぼないという状態。なにもかもモバイル決済だ。
現金のやり取りをしていたのは過去の話。「現金を持ち歩かない」という若者も多い。
小さいお店に立ち寄り、QRコードをスキャンして、Alipayで肉まんを購入した。
欲しいと思った瞬間にコーヒーをオーダー、すぐピックアップ
コーヒーを飲みたくなったのでLuckin Coffee(瑞幸咖啡)を注文することにした。
Luckin Coffee2017年に創業してからわずか1年で2,000店舗以上(現在は4,000店舗以上)を出店、1年半で上場を達成した注目の新興企業だ。
注文は全てアプリ経由、ピックアップとデリバリーに特化している。だから店内にメニューはないし、店頭で注文することもできない。
「サードプレイス」などと呼ばれくつろぎの空間を提供するスターバックスとは異なり、Luckin Coffeeは、ほとんどが席がないピックアップ/デリバリー特化型の店舗だ。そのため、店舗面積が小さく、地価が高い場所でも出店しやすい。また先述の通り、注文と決済はアプリからのみのため、店員はレジ業務が不要。ドリンクを作る業務のみに集中できる。結果として1人か2人のみで業務を行なっている店舗が大半だ。
上海の中心部では、数分歩けばすぐにLuckin Coffeeが見つかる。
アプリで近くの店舗を見つけて、カフェラテを注文、スマホ決済を完了させる。3分歩いて店舗に着いた時にはもうカフェラテは完成していた。