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【魚眼 虫眼 鳥瞰】 積極投資へギアチェンジを

月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。

『国民経済計算』に「制度部門別の純貸出/純借入」がある。詳しい説明は割愛するが、これによると、1998年度以降一貫して、非金融法人企業(企業)は、貯蓄超過(黒字)となっている。バブル経済崩壊後、過剰債務の解消を図り、大きく売上高が伸びないなかにあっても、利益剰余金を内部留保として積みあげてきたためである。これが、企業にお金が集中しているといわれる根拠の1つである。

一方、かつて10%前後の黒字をつづけ、世界的にも優秀といわれる日本の家計は、近年、赤字にはならないものの減少がつづき、赤字になる日も近いかもしれない。

また、政府の収支バランスは、赤字であることはご存じのとおりである。

名目賃金をアメリカおよびユーロ圏と日本を比較した指標を見ると、1995年を0として、日本だけが緩やかではあるが右肩下がりで、賃金が伸びていない。そして、労働生産性では日本はほとんど横ばいである一方、アメリカとユーロ圏は140%前後と、しっかりと生産性を高めており、日本だけが時代変化をキャッチアップしてこなかった。

今後日本の労働人口が減少するなか、1人あたりの労働生産性の向上は必須の課題である。身近なところでも労働生産性を高めることはできる。無駄な仕事を止める、これまでやってきたからという理由だけでつづけていないかなど、足元から見直すだけでも生産性を高められることはたくさんある。

そして、企業が貯めこんできた内部留保を人に投資することで、より大きな生産性を求めることだ。人への投資は成果が出るまでに時間がかかる。しかし、人に投資をしなければ、組織を変えることも、イノベーションを起こすことも難しい。

一方、これから先は労働者側も変化することを受け入れ、新しい知識やスキルを身につけることに前向きにならなければならない。過去の蓄積だけでは、通用しなくなったと心得るしかないのだ。

いまこそ、企業も、そして働きつづけたいと思う人も、変化することへの不安を脇に置いて、変化に立ち向かうための投資に、積極的にギアチェンジするときである。

(編集室 ブンヒン
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