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【魚眼 虫眼 鳥瞰】 民泊新法から考えるトライセクター

月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。

「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が、6月15日に施行となり、これまでグレーゾーンであった民泊ビジネスが、都道府県知事へ届出を出すことで、合法的にはじめられる。

この民泊新法成立の背景には、不動産業界の後押しがあり、今後も増えるインバウンドによる宿泊施設不足の解決を狙いとしている。そこには、空き家問題解決という建前もあるが、むしろ、新規住宅建設が大きく減少してしまい日本経済に多大な影響をもたらさないように、新規建設を一定程度維持したいという意図が見える。つまり、新規建設によって空いてしまう不動産を民泊によって活用しようというのである。厚生労働省と国土交通省、観光庁合同で、インターネット上に民泊ビジネス向けのサイトが運営されており、省庁を横断した民泊推進が、正しく運営され、かつ日本経済に貢献することを期待したい。

しかし、民泊新法の施行以前から民泊は勢いを増している。違法民泊も多く、周辺住民への騒音問題やごみ問題など負の影響を与える事例が目立つ。そして違法民泊の場合、日本経済に貢献しない事例も多い。たとえば、中国人ネットワークにおける民泊営業である。家主(借主)、仲介業者、利用者もすべて中国人で、その決済がすべて中国国内で済まされてしまう。日本にいる中国人は無償でサービスを提供しているという構造をつくっているため、摘発や課税が難しい。ひどい事例では、居室が二重三重に又貸しされているため、誰が家主なのかわからないケースもあるという。

民泊新法によって、違法民泊がなくなることを強く願う。違法ケースを見つけ出すには、周辺住民による協力が欠かせない。民泊はシェアリングエコノミーの考えから誕生しているが、正しい運営もまた、シェアリングエコノミーに基づく考え方が効果的だ。

社会の複雑化が進むことで、「行政」と「住民」そして「運営者・関係者」をつなぐトライセクターという視点がますます大切になる。かつて地域課題は自治活動が中心になって解決してきたわが国だが、いまは衰退傾向にある。しかし、こうしたことをきっかけに、多くのトライセクター・リーダーが生まれ、住みやすい新たな社会ができあがることが望まれる。

(編集室 ブンヒン
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