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【#13:海外における現場生産マネジメント体制の構築】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート

日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
今回のコラムでは、前回の「国内マザー機能工場の役割」に続く形で、海外における生産体制のマネジメントについてご紹介します。

国内と海外の生産マネジメント体制を構築するときのポイントとして、
Chart11では「グローバル生産体制の構築」を、そしてChart12では「国内マザー機能工場の役割」をご紹介しました。

それらの最後のポイントとして、本コラムでは「海外工場のマネジメントの要点」について考えてみましょう。

海外工場のマネジメントは、文化や就労システム等の違い等もあることから、その全てを日本人が行うことは難しいと思われます。
従って、工場マネジメントの現地化(現地スタッフによる工場運営)が必要となります。

その場合、日本との連携を保ちながら海外工場のパフォーマンスを最大化するための組織運営を実現することが大切で、それを目指す仕組みを工夫してつくる必要があります。
仕組みを考えるベースとして、海外工場と海外技術センターの連携も含めた体制の一例を紹介します。

Chart13:海外における現場生産マネジメント体制

上記はあくまで一つの例ですが、どのケースにも共通してポイントをあげるとすると、このように4つにまとめられます。

海外における現場生産マネジメントのポイント

① 工場運営・生産ラインは現地ナショナルスタッフに任せる
② 同一地域で複数工場を維持・進化させるために、海外技術センター(RTC)を設置する
③ オペレーションをアドバイスするため、工場長にRTCから工場長アドバイザーをアタッチする
④ 日本のマザー機能工場での研修、意見交換の場を設定する

また、ここでいう「海外技術センター RTC(Regional Technology Center)」の機能としては、下記が挙げられます。
① 安定生産のための技術支援
② 新技術の工業化検討と実生産導入
③ 地域特性、市場ニーズに合わせた新製品の開発、導入および生産支援
④ ローカルナショナルスタッフの育成
⑤ 地域での技術情報の収集、発信

これらのポイントや機能を押さえておくことが、グローバルな生産体制を構築し、円滑に運用していくことに繋がります。

五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。

近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)

Chart09:海外赴任のポイント
Chart10:コストダウンとコストカット
Chart11:グローバル生産体制の構築
Chart12:国内マザー機能工場の役割
Chart13:海外における現場生産マネジメント体制の構築(本コラム)
Chart14:技術情報 漏洩防止対策

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