【ビジネスデータ】「いかに人材を育てるか」、その現状と課題は?
月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。
国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を明らかにすることを狙いに、厚生労働省が2001(平成13)年度から毎年実施しているのが『能力開発基本調査』だ。この調査は、企業の能力開発の方針などを調べる「企業調査」、事業所の教育訓練の実施状況などを調べる「事業所調査」、個々の労働者の教育訓練の実施状況などを調べる「個人調査」で構成されている。具体的には、企業の教育訓練費、人材育成の課題、自己啓発の状況・課題の3つについて調査している。
企業がOFF-JTに支出した労働者1人あたりの平均額は2.1万円で、3年連続で上昇。一時は縮小傾向にあった社員教育にかける費用は、企業業績の改善に伴い、増加傾向にあることがわかる。ただし、企業が自己啓発支援に支出した費用の労働者1人あたりの平均額は0.5万円で、前回より減少している。とはいえ、今後3年間の見込みについては、OFF-JTへの支出も、自己啓発支援への支出も、「増加予定」とする企業の割合が高くなっており、教育に力を入れる様子が受けとれる。
人材育成の問題点については、人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答した事業所が7割以上を占めた。その内容は、「指導する人材が不足している」「人材育成を行う時間がない」「人材を育成しても辞めてしまう」の順に多い。
また、キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所の割合が大きく上昇、きめこまやかな指導をしている様子がわかる。ちなみに、キャリアコンサルティングを行う目的は、「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」「労働者の自己啓発を促すため」などが多くあがった。
個人調査では、「OFF-JTの延べ受講時間」についても聞いている。
人がすべてといわれるビジネスの世界。社員への教育を充実させることで、日本の産業界全体の底あげにつながることを期待したい。