【ビジネスデータ】 事業拡大がつづくアジア地域、展望と課題を探る
月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。
日本貿易振興機構(JETRO)では、アジア・オセアニアにおける日系企業の活動実態を把握するため、毎年「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」を実施している。調査対象は、北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業(日本側による直接、間接の出資比率が10%以上の企業)である。
調査の内容は、営業利益の見通しや事業拡大意欲、経営課題、製造・サービスコストの上昇、原料・部品の調達(製造業)、輸入の状況、現地市場開拓への取り組み、そして賃金などとなっている。国・地域ごとに傾向がわかるうえ、30年以上実施しているため、過去との比較ができる。
2017年度の結果によると、同年の営業利益見込みを「黒字」とした企業の割合は増加し、「赤字」とした企業は減少している。
また、南西アジアを中心に、ほぼすべての対象国の景況感が改善。その理由は「現地市場での売上増加」が最も多く、かつては生産拠点だったアジア地域が、市場としての力をもつようになったことがうかがえる。
「今後の事業展開」については、「拡大」と回答した企業の割合が5割を超えた。拡大意欲が高かったのは、パキスタン、ミャンマー、インド、ベトナムであった。
「経営上の問題点」として最も多かったのは「従業員の賃金上昇」だ。特にカンボジアやインドネシアでは8割を超えた。そして、製造業の調達コストの上昇も、前回調査よりポイントが高くなっている。
経営課題については、国・地域別に上位5項目をリスト化しており、国ごとの課題の傾向がつかめる。さらに、中国とアジア主要国についてはチャート化されているため、中国とのリスクの比較ができる。
有望市場として注目されるアジア地域だが、進出にあたっては、国ごとのリスクや問題点を十分に見きわめることが重要となるだろう。