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【魚眼 虫眼 鳥瞰】 日本人の価値観が世界を変える

月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。

「保護貿易」と「自由貿易」は対立構造で語られることが多く、歴史的にはいずれかを選択して政策が実施されてきた。

トランプ大統領の誕生によって、アメリカはTPPからの離脱表明を行い、保護貿易主義が進むかのようにみられる。また、欧州諸国でも、高い失業率によって、国内雇用を増やす要求が特に若者から強く、同じように保護主義へ傾きつつある。

保護貿易への要求が高まる一方で、自由貿易下のグローバル経済の必要性を発信する声も多く、保護貿易よりも自由貿易が良いと考えられているようだ。

しかし現在、長期にわたり自由貿易によって市場はグローバル化し、グローバル経済は、格差を拡大させ、超富裕層はさらに富み、そして社会を支配することになっている。グローバル経済の拡大によって、企業は、より安い労働力を求めて国内から途上国へ、さらに安い労働力を求めて転々とする。一方、国内では、競争力を維持するためにコスト削減が進められ、賃金は引き下げられてきた。そのために、先進国における中産階級は急速に減少し、需要は押し下げられ、その結果、世界中で需要が減少しながらも、生産活動をつづけるために、さらに安い労働力とコスト削減を求めるという負のサイクルが生まれてしまった。

これに歯止めをかけてほしいと、保護主義へと舵を切ることが国民から求められたのがいまの状況だろう。保護主義によって、経済が発展した時代と国もあり、保護貿易がけっして悪いわけではない。むしろ、長期にわたり同じ体制のままで社会が発展しつづけると思い込むことこそが、悪化のサイクルを増幅させる。

自由貿易か保護貿易かという対立構造ではなく、人間と社会を中心において、国や連合組織の関与を伴い、自国を単純に優先しない経済活動を考える必要性が、高まっているように思えてならない。

こうした対立構造とは違った考え方ができるのは、日本人なのではないだろうか。私たちには、「利他」「三方よし」「中庸」などを知るDNAが備わっており、人間や社会を基盤において、経済活動を考えられる民族だと思うからだ。

いまこそ、日本人が世界を変えるDNAを発揮し、人間と社会を中心においた経済活動「人間主義」へ変えていく必要があろう。

(編集室 ブンヒン
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