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【#02:生産の2類型】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート

日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
第2回目は、工場で安定的にものづくりをする中で、利益向上策を考えるベースとなる生産の2類型を扱います。取り扱っている製品の種類に関わらず、双方の知識を身に着けることが、生産業務を進化させるために必須の項目です。

生産における2つのタイプ

生産(ものづくり)は 大きく2種類に分ける事ができます。
ひとつはアセンブリ(組み立て・混合)型生産、もう一つはプロセス(反応・精製)型生産となります。
それぞれのキーワードは、“Physical”と“Chemical”です。

 

Chart02:生産の2類型

タイプ1:Physicalなアセンブリ型生産

アセンブリ(組立て・混合系)型生産は、自動車の組み立て工程に代表される生産タイプです。

加工食品の製造等も含め、部品を組み立て、あるいは加工(曲げる、削る等含む)して製品化するプロセス、または、原料を混ぜることで製品化する生産プロセスが代表的な例です。

このように、部品や原料にPhysicalな変化を与えて製品化するのが、アセンブリ型生産です。

タイプ2:Chemicalなプロセス型生産

一方のプロセス(反応・精製)型生産は、大豆から油を抽出する工程などに代表される生産タイプです。

その他にも、鉄鉱石から鉄鋼材料、原油から石油汎用製品、糖類を発酵させて酒類を製造する等、原料を反応や分解、精製して製品化する生産プロセスが代表例となります。

原料にChemicalな変化を与え、物質変換することで製品を得るのが、プロセス型生産の特徴です。

2つのタイプの特徴を知ることで利益拡大につなげる

アセンブリ型生産とプロセス型生産では、オペレーションの仕方、効率化に向けた取り組みの視点、利益創出のステップとポイント、主なKPI、そして生産工程の目指す姿が異なります。

例えば利益をどう創出するかで考えてみるとどうでしょうか?

アセンブリ型の生産方式では、作業をカイゼンさせ生産性を上げ、標準化を進歩させることで利益拡大を進めます。
一方プロセス型では、技術開発の結果設定された条件をさらに最適化することで、工程の効率を上げ、利益拡大につなげます。

生産工程の効率化や競争力強化、さらに進化を考えるとき、

  1. 生産のタイプはどちらかを判別すること
  2. 全体がどのように組み合わさり、成立しているかを理解すること

これらを考えることが重要です。

五十嵐 弘司

五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。

近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)

Chart01:技術のバリューチェーン
Chart02:生産の2類型(本コラム)
Chart03:事業の2類型
Chart04:事業類型と生産類型の組み合わせ
Chart05:現場の自律性
Chart06:現場を見る視点
Chart07:2種類のPDCA
Chart08:プロジェクト決断のタイミング

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