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【#04:事業類型と生産類型の組合せ】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート

日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
第2回、第3回で扱った「生産の2タイプ」、「事業の2タイプ」を組み合わせ、大きく産業のタイプ分けを行います。自社の産業がどのタイプに属するかを分析することで、立てるべき戦略の方向付けとなります。

事業の2類型×生産の2類型

これまで、事業には「アセンブリ型とプロセス型」そして生産には「B to BビジネスとB to Cビジネス」があることを説明してきました。
今回は、それらを組み合わせて、2×2=4タイプの「産業のかたち」を考えます。

多くの企業では、商品・サービスごとに事業戦略をたて、BtoB/BtoC ビジネスを展開しています。

いくつかケースをあげながら考えてみましょう。

自社内でプロセス型生産→アセンブリ型生産を行うB to Cビジネス

プロセス型で素材を作り、アセンブリ型としていくつかの素材を組み合わせて最終製品を生産するケースです。
例えば、バイオ技術や合成技術に強みのある会社において、うま味や美白効果のある機能性素材を生産し、他の素材と配合して食品や化粧品の最終製品を製造し、ブランドをつけて消費者に販売する例がこれに当たります。

プロセス型生産→B to Cビジネス & B to Bビジネス

石油化学メーカーには、原油から汎用石油化学製品をつくる BtoB ビジネスと、ガソリン油分に微量な機能成分を混合しガソリンスタンドで最終消費者にガソリンとして販売する BtoC ビジネスを行っている例もあります。

それらの産業のかたちを、業種の例とともに4象限にまとめてみましょう。

事業類型と生産類型の組合せ

Chart04:事業類型と生産類型の組合せ

最近では、B to B to Cビジネスも盛んです。

大きく分けるとB to B ビジネスなのですが、製品(素材や中間品)を顧客企業(B)に販売する際、その先の消費者(C)のニーズや課題を捉えた上で、顧客(B)にソリューションとしての製品を提案し生産する事業類型で、B to Bビジネスの競争力強化、進化につながっています。

産業の根幹は、事業のかたちと生産かたちの組合せで成り立ち、収益をあげるためには、両方のかたちの特徴を理解し具体的な戦略に落とし込む必要があります。

五十嵐 弘司

五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。

近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)

Chart01:技術のバリューチェーン
Chart02:生産の2類型
Chart03:事業の2類型
Chart04:事業類型と生産類型の組み合わせ(本コラム)
Chart05:現場の自律性
Chart06:現場を見る視点
Chart07:2種類のPDCA
Chart08:プロジェクト決断のタイミング

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