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【#06:現場を見る視点】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート

今回のコラムでは、「私が生産現場に入る際にチェックするポイント」を3つの視線に分けてお伝えしようと思います。

前回のコラムでも言及したように、工場や生産現場は、製造業の事業の要です。
そのため、
・現場の運営状況はどうか
・良い商品ができる環境か

を確認し、きちっと現場力を見極めることが経営上とても重要です。
生産現場に入ったら、現場の雰囲気に圧倒されず、以下のポイントに従ってチェックしてみてください。

Chart06:現場を見る視点

※4Sができ、行き届いている現場は、職場自らが「計画」を作り、その実現に向けた取り組みを自発的に行うことができます。一方で、4Sに不具合のある現場は、「計画」を作成すること、さらに職場が目標を達成するための取り組みを精緻に行うことが難しいという特徴があります

チェックポイント①:まずは「足元」を見てみよう

生産現場に入ったら、まず確認するのは足元です。
・足元の床や物品の置き方
・在庫の状況
・ライン、エリアの設定
といった視点で、それぞれの4S(整理、整頓、清掃、清潔)の状態を確認します。
この状態が良好な現場は、自ら計画を作ることができ、実現にむけた取り組みができると考えられます。

チェックポイント②:「目の高さ」には多くの重要な情報が

次に目の高さの周囲を見ましょう。
・目の高さにある掲示板
・生産状況が書かれた図表
・CRTの画面
などを確認するのがよいでしょう。従業員の服装や設備が整然としているかのチェックも重要です。ここからは現場の実力(パフォーマンス)が見えます。
ヒアリングが可能であれば、課題が特定されているかどうかも見聞きしてみましょう。
課題を明確にした上でしっかりと結果を出している現場は「強くパフォーマンスが高い現場」といえます。

チェックポイント③:天を仰げばわかる品質管理レベル

最後に視線を上にあげます。
ここでは、
・天井の状態
・照明や空調の機能状態
などを確認します。具体的には、汚れ、さび、照明の状態、空調の吹き出し口の汚れ等です。
見上げた視線で品質が分かるとは意外ですが、そこに問題が無ければ、品質を守る第一ステップはできていると考えられます。

現場を正しく理解することは、企業経営にとって重要な事です。ここでは、生産現場に焦点を当てましたが、販売の現場も同様と考える事ができます。企業の経済活動は現場にあり、利益を創出する原点は現場にあることを再確認しましょう。

五十嵐 弘司

五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。

近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)

Chart01:技術のバリューチェーン
Chart02:生産の2類型
Chart03:事業の2類型
Chart04:事業類型と生産類型の組み合わせ
Chart05:現場の自律性
Chart06:現場を見る視点(本コラム)
Chart07:2種類のPDCA
Chart08:プロジェクト決断のタイミング

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